これだけ体操

これだけ体操

非特異的腰痛の予防・改善が期待できる治療法の一つに、運動療法があります。腹筋運動や背筋運動、下半身のストレッチなど、さまざまな種類が提唱されていますが、忙しい現代人がモチベーションを保ちながら毎日継続させることは、容易ではないでしょう。しかし、時間も場所もとらずに実践できる手軽な体操があります。それが「これだけ体操」です。

「これだけ体操」は、長年にわたって腰痛の臨床と研究に取り組んでいる講座長、松平浩がマッケンジー法のコンセプトを基に考案し推奨しているシンプルな体操です。方法は簡単で、ページ上部に示したとおり、猫背姿勢が続いたあとに、腰を1~2回、後ろに反らしたりするだけなので、仕事や家事の合間に短時間で行うことができます。

腰の鈍痛や違和感は、椎間板の中にある髄核がずれたことで生じることがありますが、不良姿勢が続いて髄核がずれたまま放置されると、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアになるリスクが高まります。「これだけ体操」を習慣化すれば、このような髄核のずれに伴う腰痛の悪化を未然に防ぐことに役立ちます。

デスクワークや洗面をはじめ、日常のさまざまな場面で前かがみの姿勢をとりがちですが、不用意に前かがみの姿勢をとると、髄核が後ろにずれるなど椎間板内の環境が悪くなる可能性があります。同じ姿勢が続いたり、重い物を持ったあとに少しでも腰に違和感を覚えたら、『借金(髄核のずれ)がちょっと増えたので、すぐにその場で借金を返す(ずれを戻す)』と髄核の動きをイメージし、『これだけ体操』を行う癖をつけるとよいでしょう。

慢性腰痛の患者には、治療とともに「これだけ体操」を日々のセルフケアとして行うよう生活指導することが有効です。その予防効果は、高齢者施設で働く介護職員を対象にした調査研究においても実証されており、「これだけ体操」を習慣化した群は、しなかった群と比べて、1年後の腰痛状況が明らかに改善しました。

「非特異的腰痛の予防と改善には、活動的な生活習慣に、腰の不具合を正す『これだけ体操』を取り入れることをお勧めします」

医道の日本 2014年8月号に記載

あなたにとって、この体操が合っているか否かを見極めるポイント

腰を反らせるエクササイズを行ってみた際に、痛みや腰を反らせる範囲が良くなること、そしてセントラライゼーションは、この体操があなたに合っていることを示すサインです。

痛みやしびれが末梢(太もも、ふくらはぎやすねのほう)に放散する、あるいは腰部から遠位(おしり、太もものほう)に移動する場合は悪い兆候です。具体的には、腰の神経を刺激している症状である可能性があります。よって、この体操は中止していただき、整形外科医に相談してください。

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