今日の腰痛対策マニュアル

「腰痛」は、日本人の8割以上が一生に一度は経験します。そして一度重症化すると、何度も繰り返したり慢性的になりがちです。 「自分は腰痛持ちではないから自分には予防対策なんて関係ない」と思っている方もいるでしょう。しかし腰痛で苦しんだ経験の ある方は言います。「こんなことになるんだったら、予防しておけばよかった…」と。􀀀 本マニュアルは、最新の知識を踏まえスペシャリストが作成したマニュアルです。ちょっと意識すればできるセルフコントロール法を 基本としていますので、是非、実践してみましょう。

まず、腰痛が起こる代表的な2つの原因をしっかり理解しましょう!�

原因1:腰椎の機能障害(髄核*の位置のズレなど)�

前かがみになると、通常は中央にある 髄核という組織が後ろに少しズレます。それが積み重なると後ろへ ズレっぱなしになり、ぎっくり腰ヘルニアといった腰での事故が起きる可能性が上がります。
急に大きく 前かがみ方向の負荷がかかると、一気に事故が起こることもあります。

髄核は、椎間板の中央にある水分の多いゲル状のやわらかい物質で、線維輪という硬い組織に囲まれています。髄核は移動しやすく、線維輪に亀裂ができて外に飛び出した状態をヘルニアと呼んでいます。

原因2:脳の機能障害(ストレスに伴うドーパミンやセロトニンの分泌不足など)􀀀

職場や家庭での負担感や悩み、つまり心理・社会的なストレスを対処できず抱えていると、快感や、痛みを抑えることに重要な役割を果たしている、脳内(中脳辺縁系)のドーパミンという物質が分泌されなくなります。その結果、健全な精神を保つために重要な脳内のセロトニンの分泌が低下し、自律神経のバランスも乱れ、腰痛を含む下図のような症状が、どれでも現れることがあります。
めまいや耳鳴りで耳鼻科にかかっても、胃腸の不調で内視鏡検査をしても、原因がはっきりしないことありますが、しかしこれも臓器や器官の障害ではなく、脳支配による機能的な障害と考えれば附に落ちます。だからストレスを感じた時に肩こりや背中のはり、そして腰痛が強まっても何の不思議もありません。

腰痛以外にも、上の図にある症状がいくつか現れた時には、少し立ち止まって自分の「ストレス」や 「負担感」を客観視してみてください。
腰痛対策をどう行うか? 自分で実践できる具体的な方

「腰椎の機能障害(髄核の位置のズレ)」を起こさないための対策

髄核が後ろへズレて‘ぎっくり腰’や‘ヘルニア’といった腰での事故を起こさないための対策を紹介します!�

「くしゃみ」や「せき」をするときの姿勢

「くしゃみ」や「せき」は、瞬間的に椎間 板に大きな負担がかかり、「ぎっくり腰」 や「ヘルニア」を誘発することがあります。 上体を後ろに反らせ気味の姿勢とし、 可能であれば壁・机、座っていれば机 や自分の膝に片手を付き衝撃を和らげ ましょう。

*手を付くことにより、椎間板への負担が􀀀 減ることが研究により証明されています。

基本姿勢としてのパワーポジション

挙上や移動、前屈みになる時などの動作時は、下の パワーポジションを保つよう習慣化させましょう! 少しだけ胸を張る感じで重量挙げ選手がバーベルを 持ち上げる時の姿勢をイメージしてください!

面倒くさがらずに徹底すべき日頃の習慣�

介護の現場では、パワーポジションを基本としつつ 下に示したような工夫も習慣化させましょう!�

「脳の機能障害」を起こさせないための対策(ストレス対策)

自分に当てはまるものがないか、第三者的な目で一度客観的に見つめ直してみましょう!
ストレス要因を知ること、それとうまくつきあう術をみつけることがストレス対処の秘訣です。

職場に見られる代表的なストレスの要因 ストレスに対応するための「小さな目標」の立て方の例􀀀
仕事そのもの やることが多過ぎていっぱいいっぱい 仕事をリストアップし、やるべきことの優先順位をつけ、終業時には確認の 印をつける。
リスクの高い利用者に対する不安感 記録やマニュアルを読む時間をつくる。一人ひとりの利用者の様子(リスク も含めて)を自分の目でよく「見て」対応する。
毎日同じことの繰り返しで単調だ 利用者や職場の仲間から感謝されたことを思い出す。「成功の方程式」を 確認し、何か一つでも工夫を試みる。
人間関係 職場内での孤立感 積極的に報告や連絡・相談、質問をすることで、自分から関わりを増やす。
上司と合わない、ついていけない 上司の役割や上司の好きな部分、尊敬できるところを敢えて書き出してみる。
悩みの相談相手がいない 自分の悩みを率直に書き出し、簡単な悩みから一番相談しやすい人に打ち 明けてみる。
組織内の役割 能力以上の役割が要求されている 苦手な仕事を書き出し、なぜ苦手なのか、その要因を具体的に探す。
自分の役割がはっきりしない やってきたこと、これからやるべきことを書き出し、上司に確認する。
組織の構造
・風土
組織の方針・仕組みに対する不満 組織や上司が求めているものは何か、自分なりに考えてみる。引き継ぎや ミーティングでポジティブに質問し、自分の考え方を述べる
組織や上司の指導姿勢に対する不満 自己啓発の目標を具体的に設定する。職場内外で理想のモデルを探す。
􀀀キャリア 将来に対する不安 自分が「できること」、「やりたいこと」、「役に立ちたいこと」を書き出し、3年後、 5年後の自分のキャリアアップの理想像を描いて具体的にイメージしてみる。

※役職者の方は、部下や同僚の「小さな目標」達成にむけて協力、支援しましょう。

誰にでもできる「3つのトライ」で、ドーパミンやセロトニンの分泌を促すプラス習慣を身につけましょう

トライ1:仕事の前に「よっしゃ!」で気合い一発!􀀀仕事を始める前に「よっしゃ!」と心の中で宣言して、仕事モードに気持をセット。そうすると、仕事への集中力も高まります。苦手な仕事でも、乗り気のしないことでも、「よし、やるぞ!」と一言かけて、前向きにとらえることで、楽に出来るようになります。

トライ2:仕事中は「オアシス」から関係づくり

仕事中は

の声かけと心がけで臨みましょう。
きっとたくさんのフィードバックが期待されます。
すでに出来ている人は、「オアシス」にプラス一言を加えましょう。

トライ3:仕事とプライベートの切り替えに「ケジメ」をつける仕事が終わったらダラダラ仕事のことを考えるのではなく、ギアを切り替えましょう。音楽や読書、友人とのダべリング。 ウォーキングは心身のリフレッシュに最適です。
※歩数計を携帯したほうが1日歩数が確実に増えます。
※100m先を見て、背筋を伸ばして歩くと爽快です。

ピンチ!こんな時は…

●落ち込んでしまったら…
好きなことに集中しましょう!
自分の好きなこと、リラックスで きること、過去に感動したことを書き出し、再び始めてみましょう。 明日からの活力が湧いてきます。 (お酒はほどほどに…)

●怒りや不満が爆発しそう!
その日不満に感じたこと、イライラしたことを自由にノートに書き出してみましょう。気持が楽になり、自分を客観的に見ることが出来るようになります。

●イラっ!としたら…
イラっとしたり、パニクリそうなときは、以下の要領で深呼吸をしましょう。
① 目を閉じ、背筋は伸ばし、できるだけ肩の力を
抜く。
② ゆっくり4つ数えながら鼻から息を吸い込む。
③その後8秒かけてゆっくりと息を吐ききる

伝統的にはそうですが、明らかな原因疾患のない一般的な腰痛(言いかえれば心配のない腰痛)に対しては、 今や予防としても治療としても世界的に「安静」は薦められていません!

明らかな原因疾患のある腰痛(特異的な腰痛)としては、神経痛を伴う椎間板ヘルニア、腰骨の腫瘍や感染、骨折などが挙げられます。
ただ、その割合は少なく(病院にかかる人のうちでもわずか15%くらい)、腰痛のほとんどが原因疾患のないもので、非特異的な腰痛と総称されます。
非特異的な腰痛の多くは、腰椎あるいは脳の機能障害であると考えられます。

●「ぎっくり腰」でさえも、安静を保ち過ぎると再発しやすくなるなどかえってその後の経過がよくないことがわかっており、
お仕事を含む普段の活動をできる範囲で維持することが世界標準の考え方です。

安静では髄核の位置のズレが改善しないためと思われます。

画像所見のほとんどは腰痛の原因を説明できません。また、今後腰痛で困り続けるかどうかの判断材料にもならないことが多いのです。よって、今後病院にかかったとき腰の画像所見をネガティブイメージで指摘されても、悲観する必要はありません!

● ヘルニア像も含めこのような所見は、腰痛があろうがなかろうが、少なくともどれか一つは多くの人にみられます。逆に腰痛持ちでも画像に全く異常所見がない人もいます。
● 椎間板に負担がかかっている所見(椎間板変性)は、20代からみられることも珍しくありません。

● 腰痛の重要な危険因子の一つである恐怖を回避する思考・行動 -心配し過ぎは要注意!-
「肉体的な重労働は、腰に悪いとよく言われる、心配だ」「腰痛を感じた時は、とにかく無理をせず通常の仕事には戻らないほうがよい」などといった、腰痛に対する強い恐怖感と、それに伴う過剰な活動の制限(専門的には恐怖を回避する思考・行動と言います)が、かえって腰痛の予防や回復にとって好ましくないことが多くの研究結果からわかってきました。
楽観的に腰痛と上手に付き合い前向きに過ごされることが肝要です。

● 仕事中も歩数計を携帯して、1日のカウントが1万を超えるように心がけてみましょう
ウォーキングを代表とする有酸素運動は、腰痛にもストレスにも効果的であることが研究からわかっています。仕事中も
歩数計を携帯して1日のカウントの合計が1万を超えることを目標としましょう。

● 心的ストレスでぎっくり腰も…
ストレスや負担感が強いと過度に筋肉が収縮し、椎間板への負担が増えることが研究により証明されています。つま
り、心的ストレスはぎっくり腰を起こす危険性を高めます。

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